映画の感想「テラフォーマーズ」

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駒鳥文庫は月曜が定休日。なのですが、だいたい買取やら何やらと用事が入ってしまい、なかなか映画館に行くことができません。

しかし。これは観ておかねばという作品がありまして、なんとか予定をやりくりして、車で15分ぐらいのイオンシネマ茨木に行ってきました。

その映画のタイトルは「テラフォーマーズ」

ネットでの評価は散々みたいですが、それならそれで逆にこれは映画館で観ておかねば!とオンボロ車を走らせた次第。

ところでみなさんは「最近の日本映画はつまらない!」と言う声を聞いたことがあるでしょうか。もしかしたら既にそう考えている方もいらっしゃるかもしれません。うちのお客さんと話をしていても、そう考えている人は少なくない印象です。

そのつまらない理由としてよく挙げられるのが

  • (ハリウッドなどに比べて)予算が少ない
  • CGの技術レベルが低い
  • テレビドラマやコミックの焼き増しばかり(企画が安易)
  • 監督の演出が下手
  • 役者の演技が下手(特にアイドルタレント)
  • 脚本が悪い
  • アイドルだのみの配役及びそのテーマ曲

中にはもう一歩踏み込んで

  • カメラマンなど職人さんがいなく、絵作りができない
  • 映画会社が出資するのではなく製作委員会方式にすることで、映画の良し悪しがわからずに企画だけが進んでしまう

なんて言うシネフィルの方々もいらっしゃいます。

もちろん最近の邦画にも面白い作品もあるのですが(「サウダーヂ」とか感動でしたよ!)、ついつい悪いところが目につくんですよね、人って。こう思っている方の数は決して少なくないようです。

さて「テラフォーマーズ」です。個人的な感想は

「可もなく不可もなく、平均的な日本映画だなぁ」

という感想でした。

実はこの映画、今さっき挙げた日本映画の問題点の全てがものの見事にずらりと勢ぞろいしています。ネットのレビューを見れば一目瞭然。ここまで全ての問題点が出揃っていることの方がまさに奇跡。こんなにも問題だらけであれば、それはそれは酷い作品なのだろうかと思いきや、アクションシーンもハリウッドと比べるとまだまだだけど色々工夫してるし、CGも今までと比べると頑張っているし、演技も上手くはないけど酷くはないしで、意外とそれなりに観れたりしちゃいます。

この「それなり観れる」のが、実は日本映画の一番問題なのではないだろうかと個人的には思うんです。

これはおそらくテクノロジー的な問題が大きいと思います。フィルムの時代なら、それこそ撮影は現像後ラッシュを見るまではどう写っているかわからない。失敗していても後からCGで訂正なんてほぼ不可能。それどころかとりあえずグリーンバックの前で演技さえしてくれたらあとはCG合成で見た目はOK。脚本や演技の不味さもフィルムを切った貼ったりしないノンリニア編集でごちゃごちゃっとして誤魔化しちゃえ。と、以前と比べると映画製作に関する技術的な問題は、かなりハードルが低くなっていると言っていいでしょう。しかも万が一誤魔化しが効かなくても、出演者にアイドルを多用しているから、ファンはそれでも来てくれるから問題ないしね!

そう。(こう言うのは懐古主義的で嫌なのですが)昔だったらこんなにも問題を抱えていたならば、それこそ作品の体すらなさない、化け物級のとんでも駄作ができているはずなのです。「北京⚪︎人」とかさ。そこまでくると、さすがに問題解決に向けて業界全体も動きだすはずなのですが、いかんせん「それなりに観れ」ちゃうんで、そういった動きは全く見られない。観れちゃうもん。むしろ今回「それなりに観れ」ちゃったんで、次回このまま問題だらけでも「それなりに観れる」だろうと。それだけならまだいいのですが、その「それなり」の映画を見続けている最近の若い観客たちは、「それなり」に知らず知らず慣らされて、「本当に良い映画」がわからなくなってしまうのではないでしょうか。まるでジャンクフードに慣らされて、素材の味がわからなくなるように。

そういった意味ではこの「テラフォーマーズ」、日本映画における結構重要な分岐点のような気がしてなりません。「テラフォ以後」の日本映画が面白い作品ばかりになりますように。

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